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マスター・ナオキの怪店日記
第7章 長澤夫妻の告白

「あの・・お水を一杯いただいてもいいでしょうか、一気にしゃべったら喉が渇いてしまって・・」
 信彦の、申し訳なさそうな催促を気づけなかったバーのマスターは、こちらこそ気が利かずに申し訳ないです、とビールグラスを掴んでサーバーに手を掛けた。
 目の前のビールにまるでお礼をするかのように丁寧にお辞儀をした二人は、相変わらずの仲の良さを物語るような、リンクする動きで喉を潤した。
 しばしの沈黙。その沈黙の中で、まず何から聞いていけばいいか、なにを聞きたいのかを、自分の中でまとめなければ。
 尚樹の頭の中で、今聞いた話の気になったところをピックアップしてみる。全部が全部気になる中で、ふいによみがえったのは、あなたには才能が隠れている、という言葉だ。才能・・才能?
「あの、話はよく・・解りましたとは言えないんですけど・・まず気になったのは、俺に才能が隠れているってとこなんですけど」
それに答えたのは照美だった。


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