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マスター・ナオキの怪店日記
第8章 いよいよ始まった、ご来店・・
新年を迎えた祝い事があったなんてまるで遠い昔かのように日常が戻り、寒さの厳しさが日に日に増してくるのを身を縮めながら感じ、いつもの毎日を繰り返していたらあっという間に1カ月が過ぎた。
長澤夫妻は、今年に入ってからまだ一度も顔を見せていなかった。
やはり来づらくなってしまったのだろうか。
今のところ自分に変わったことは特に起きず、昨年のクリスマスの翌日に店に表れたあの人のような人物はやって来てはいない。
そうそうある事ではないんだ。やたらめったに霊が来店するなんてことは無いんだよ。
自分に言い聞かせながら、ふとあの夜の事を思い出す。霊が飲みに来た、あの夜・・
今夜のように早くに客が引けていたっけ。まだ10時ちょっと過ぎなのに、さっきまでいた3人組の客も帰っていって、店には尚樹一人になった。
・・あの時と似ているな・・
いや、そんなこと考えるのはやめよう、それこそ同じになっちまう、と自分の臆病を恥ずかしく思いながら、ぶるっと体を震わせた時だった。