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マスター・ナオキの怪店日記
第8章 いよいよ始まった、ご来店・・
ギイと音をたててドアが開く。視線を向けると、男が一人、会釈しながら入ってきた。
瞬間的に、尚樹は感じ取った。来てしまった、と。
「お邪魔してもいいですか?」
謙虚な言い回しのわりには恐縮している様子は見られない男。歳の頃なら60は過ぎている中高年世代といったところだろうか。
「ええ、もちろんです、どうぞ、お好きな席にお座りください」
さっそく男は、他に客は誰もいない店内をぐるりと見まわしてどの席に座ろうかと物色している様子を見せたが、やはりカウンター席に座った。
尚樹の立っている位置から一人分ほどずらして、真正面から向かわないように気を使ってくれたらしい。おかげで目のやり場が広がって、多少は緊張が和らいだ。
だけど、これからどんな話に付き合わされるのか。考えると心臓の動きが活発になった。
「いらっしゃいませ。まずはお飲み物をお伺いしましょうか」
尚樹の問いかけに対して、壁の酒瓶に視線を走らせ酒の種類を選ぶような仕草を見せたが、マスターのカクテルを飲んでみたい、とお任せのカクテルをリクエストしてきた。
・・ああ、この人きっと酒に詳しくて厳しそうだな・・
初めての店でカクテルをお任せ、なんて、まるでこっちの腕を試されるみたいで嫌だな。
心の中で不安を口にしながら、自身が一番気に入っている「ヴィーナス」を作ることにした。
瞬間的に、尚樹は感じ取った。来てしまった、と。
「お邪魔してもいいですか?」
謙虚な言い回しのわりには恐縮している様子は見られない男。歳の頃なら60は過ぎている中高年世代といったところだろうか。
「ええ、もちろんです、どうぞ、お好きな席にお座りください」
さっそく男は、他に客は誰もいない店内をぐるりと見まわしてどの席に座ろうかと物色している様子を見せたが、やはりカウンター席に座った。
尚樹の立っている位置から一人分ほどずらして、真正面から向かわないように気を使ってくれたらしい。おかげで目のやり場が広がって、多少は緊張が和らいだ。
だけど、これからどんな話に付き合わされるのか。考えると心臓の動きが活発になった。
「いらっしゃいませ。まずはお飲み物をお伺いしましょうか」
尚樹の問いかけに対して、壁の酒瓶に視線を走らせ酒の種類を選ぶような仕草を見せたが、マスターのカクテルを飲んでみたい、とお任せのカクテルをリクエストしてきた。
・・ああ、この人きっと酒に詳しくて厳しそうだな・・
初めての店でカクテルをお任せ、なんて、まるでこっちの腕を試されるみたいで嫌だな。
心の中で不安を口にしながら、自身が一番気に入っている「ヴィーナス」を作ることにした。