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マスター・ナオキの怪店日記
第8章 いよいよ始まった、ご来店・・
まるで煙草の煙でも吐き出すように、オーナーバーテンダーだった男は大きく息を吐く仕草をする。けど、実際には息はしていない。それはそうだ。彼の呼吸はもう止まっているのだから。
わかり切っている事なのに、ぼんやりと男を眺めながら切ない気持ちになった。
そういえば・・尚樹の中で小さな記憶が引き出された。
2ブロック先あたりのバーが、オーナーの突然の死によって閉店したという話を、客がしていたのを思い出した。
「やっぱりね」
男がうなるように呟く。
「やっぱりいきなりは悔しいよ・・」
男の声は無念に満ち溢れている。さっきまでの穏やかな目元はつらそうに歪んでいた。
「心残りが多すぎる。いや、心残りばかりだよ。まだまだ生きていたかった。もっともっとお客さんに酒を楽しんでもらいたかった。私も・・他人との繋がりを楽しみたかった」
感情が高まったのが原因なのかわからないが、次第に男の体が透けてきた。自身の体の変化に気付いたのか、照れ笑いを浮かべて尚樹と目を合わせた。
わかり切っている事なのに、ぼんやりと男を眺めながら切ない気持ちになった。
そういえば・・尚樹の中で小さな記憶が引き出された。
2ブロック先あたりのバーが、オーナーの突然の死によって閉店したという話を、客がしていたのを思い出した。
「やっぱりね」
男がうなるように呟く。
「やっぱりいきなりは悔しいよ・・」
男の声は無念に満ち溢れている。さっきまでの穏やかな目元はつらそうに歪んでいた。
「心残りが多すぎる。いや、心残りばかりだよ。まだまだ生きていたかった。もっともっとお客さんに酒を楽しんでもらいたかった。私も・・他人との繋がりを楽しみたかった」
感情が高まったのが原因なのかわからないが、次第に男の体が透けてきた。自身の体の変化に気付いたのか、照れ笑いを浮かべて尚樹と目を合わせた。