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マスター・ナオキの怪店日記
第2章 夫婦でBARへ

 ごちそうさま、ありがとう、を繰り返しながら夫婦は木の扉を押し開け、笑顔を残して帰っていった。
「いい夫婦だね。うちもあんなんだったら毎日平和に暮らせるんだけどなぁ」
 一連の様子を見ていた常連客の毎度さんは、尚樹を手伝うかのように夫婦が使っていたグラスや皿をカウンター越しに差し出した。
「ありがとうございます、助かります」
 片付けなんてしなくていいと、毎度毎度言っているのに、自分の隣の客が席を立つと食器を片付けてくれる。自身も飲食店で働いているから職業病なんだよ、と手を出してくれる。
 店に入ってくるときもいつも毎度毎度と挨拶するので、いつの間にか「毎度さん」とあだ名がつけられた。なので、尚樹も本名は知らないのだ。


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