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マスター・ナオキの怪店日記
第2章 夫婦でBARへ
「毎度さんちは平和じゃないんですか?」
蛇口をひねり過ぎて飛び散る水しぶきに自分で驚いて、すぐに水量を弱めながら毎度さんに笑いかける。尚樹の表情が自分をからかっているように見えたのか、独りもんにはわかんねえよ、と鼻息を荒くして呟いた。
「うちなんか、どっかメシでも食いに行こうって言ったって、やれもったいないだとか旦那と行くより女子会の方が楽しいとか言ってさぁ。さらにあっちの方だってさっぱりだし。年取ると夫婦なんて名ばかりよ」
知多でも飲むか、とグラスを揺らす毎度さんをカウンターの逆端から見ていたもうひとりの常連客・三島さんが、しんみりとした声をかけた。
「そういって悪態つけるのも今のうちだけだよ。死んじまったらもう、文句も言えないんだから。いなくなってからありがたみがわかってももう遅いんだよ、毎度さん」
蛇口をひねり過ぎて飛び散る水しぶきに自分で驚いて、すぐに水量を弱めながら毎度さんに笑いかける。尚樹の表情が自分をからかっているように見えたのか、独りもんにはわかんねえよ、と鼻息を荒くして呟いた。
「うちなんか、どっかメシでも食いに行こうって言ったって、やれもったいないだとか旦那と行くより女子会の方が楽しいとか言ってさぁ。さらにあっちの方だってさっぱりだし。年取ると夫婦なんて名ばかりよ」
知多でも飲むか、とグラスを揺らす毎度さんをカウンターの逆端から見ていたもうひとりの常連客・三島さんが、しんみりとした声をかけた。
「そういって悪態つけるのも今のうちだけだよ。死んじまったらもう、文句も言えないんだから。いなくなってからありがたみがわかってももう遅いんだよ、毎度さん」