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マスター・ナオキの怪店日記
第11章 4人目の幽霊様
「ところでさ、長澤さんたち、今年に入ってから店に来たかい?」
三島さんも気にしているように、尚樹も、そしてゴリさんや毎度さんも気にしている。
長澤夫妻はいったいどうしたのか、と。
尚樹は、彼らが来店しない理由に心当たりがあることは隠して、今年に入ってまだ一度も来店していない事を告げた。
「まあ、まだ年明け3ヶ月弱だからねえ、なんとも言えないけど。ここに来る気がなくなったってことはないだろう。とっても気に入っているんだから。となると、何かあったのかって、心配になるんだよ。まさか僕みたいな事になったわけじゃないだろうね」
三島さんは自分に重ね合わせているのだ。妻を亡くした後何か月も店の顔を出さなかった、いや出せなかった、自分に。
でもそれはないだろうと尚樹は確信している。あの人たちならそういう事があったら、姿を変えてここにやって来るはず。霊が見える、自分に会いに来るはずだから。尚樹はそう確信している。
「いや、それよりもご実家で何かあったのかもしれないですよ。例えばお孫さんが生まれるだとか・・なんて、良い方に考えておきましょうよ。そのうちまた来てくれますよ」
そうだな、そっちかもなと三島さんは尚樹の説に肯きながら、明るく表情を開いた。
そう他人には前向きな発言をしておきながら、尚樹の胸の内には雨雲も通り過ぎる。
だけど、下を向きそうになると客がドアを開ける。弾む声と屈託のない笑顔が、雨雲を吹き飛ばしてくれるのだった。
三島さんも気にしているように、尚樹も、そしてゴリさんや毎度さんも気にしている。
長澤夫妻はいったいどうしたのか、と。
尚樹は、彼らが来店しない理由に心当たりがあることは隠して、今年に入ってまだ一度も来店していない事を告げた。
「まあ、まだ年明け3ヶ月弱だからねえ、なんとも言えないけど。ここに来る気がなくなったってことはないだろう。とっても気に入っているんだから。となると、何かあったのかって、心配になるんだよ。まさか僕みたいな事になったわけじゃないだろうね」
三島さんは自分に重ね合わせているのだ。妻を亡くした後何か月も店の顔を出さなかった、いや出せなかった、自分に。
でもそれはないだろうと尚樹は確信している。あの人たちならそういう事があったら、姿を変えてここにやって来るはず。霊が見える、自分に会いに来るはずだから。尚樹はそう確信している。
「いや、それよりもご実家で何かあったのかもしれないですよ。例えばお孫さんが生まれるだとか・・なんて、良い方に考えておきましょうよ。そのうちまた来てくれますよ」
そうだな、そっちかもなと三島さんは尚樹の説に肯きながら、明るく表情を開いた。
そう他人には前向きな発言をしておきながら、尚樹の胸の内には雨雲も通り過ぎる。
だけど、下を向きそうになると客がドアを開ける。弾む声と屈託のない笑顔が、雨雲を吹き飛ばしてくれるのだった。