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マスター・ナオキの怪店日記
第11章 4人目の幽霊様
 目の前に置かれたビールのグラスのくびれを指でなぞってから、そろりそろりと口に運ぶ。二度ほど喉を上下させると、グラスをコースターの上に戻した。
「ビールってほぼジョッキでしか飲まなかったから、こんな色っぽいお上品なグラスだと飲み方変えなきゃいけないかなあー、なんて」
 コロコロと笑い出した女に尚樹が聞く。
「もしかして、居酒屋派?」
 ビール=ジョッキ、とくればやはり居酒屋や大衆飲み屋がしっくりくる。女の言いぶりから想像を投げかけてみる。すると女は、その通り!と甲高い声と右手を突き上げた。
「私ね、バーって行ったことなかったの。いっつも居酒屋とかばっかり!っていうのも、付き合ってた男の影響なんだけどね。そいつと別れてからイイ感じになった男が、私バーに行ったことないって言ったら、今度連れていくよって、約束してくれたのよ。それもこの店に!」
「えっ?この店に?」


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