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比翼の小鳥
第2章 穴蔵のシスター
シスター、コッカイします。と言った女の子の声は、どこか怯えているように感じた。
ドア一枚隔てて背中合わせに座り、わたしはいつものように「どうしました」と声をかけた。
「あの…、お姉様が……」
その一言で察する。
彼女の言うお姉さまと言うのは、血縁のある本当の姉のことではない。
聖なる白いバラの庭という異名を持つこの女子校に存在する、ある種の特別ルールだ。
上級生が「姉」となり、下級生を「妹」として個別指導をする、通称・姉妹制度。
それは校則などではなく、いつの間にか黙認されていた生徒間の人間関係のことだ。
わたしは黙ったまま、彼女の言葉を待った。
「……。あの…」
「どうしました?」
「あの…お姉、様が……」
「…はい」
「シスター、あの…怒らないで、聞いてくださ…い……」
怒る?感情のままに吐き出される暴言には、すでに慣れてしまっているわたしに、彼女はあえて「怒らないで」と懇願した。
そのセリフもきっと、「お姉様」の指示なのだろう。
ドア一枚隔てて背中合わせに座り、わたしはいつものように「どうしました」と声をかけた。
「あの…、お姉様が……」
その一言で察する。
彼女の言うお姉さまと言うのは、血縁のある本当の姉のことではない。
聖なる白いバラの庭という異名を持つこの女子校に存在する、ある種の特別ルールだ。
上級生が「姉」となり、下級生を「妹」として個別指導をする、通称・姉妹制度。
それは校則などではなく、いつの間にか黙認されていた生徒間の人間関係のことだ。
わたしは黙ったまま、彼女の言葉を待った。
「……。あの…」
「どうしました?」
「あの…お姉、様が……」
「…はい」
「シスター、あの…怒らないで、聞いてくださ…い……」
怒る?感情のままに吐き出される暴言には、すでに慣れてしまっているわたしに、彼女はあえて「怒らないで」と懇願した。
そのセリフもきっと、「お姉様」の指示なのだろう。