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闇に蠢くツチノコ
第2章 幹事がいない同窓会
葬儀前日、おばちゃん、、つまり関ちゃんの母親は警察に呼ばれそのまま逮捕された。
容疑は殺人。保険金殺人だ。
関ちゃんの知られざる事実はこうだ。

関ちゃんは幼い頃から一億円もの生命保険が掛けられ、二年前に亡くなった父親の会社は既に倒産寸前だった。
これも知らなかったが、関ちゃんは高校時代から睡眠薬を常用していて、母親はその睡眠薬に青酸カリを塗り殺害した。パソコンに残された遺書はもちろん偽造だ。
亡き父親は命を賭けても会社を守れと、生前から家族に厳命していた。きっかけは妹の通報。連行されたおばちゃんは観念したのか、あっさりと自供した。それにしてもどうして人は直ぐにバレる嘘をつくのか。
おばちゃんはそれだけ追い詰められていたのか?今となってはどうでもいいが、関ちゃん自身はまさか自分が殺されるなんて夢にも思ってはいないと思う。結構警戒心が強く慎重な男だ。ただ睡眠薬を常用していたとなると事業や家族の事で悩んではいたのだろう。ネットの書き込みにあったパワハラもあるにはあったようだが、、関ちゃんは鼻で笑っていたそうだ。
そしてもう一つ。関ちゃんは養子だったという事実。
特にこの事実はマスコミがまた面白おかしく報道した。
「まるで生贄だ」
だと。
そして、どこで聞いたのか、ケイタもかつてのツチノコ騒動をほじくり返され例によってマスコミ相手にひと暴れ。警察沙汰になったがなんとか厳重注意で済んだ。そして例のごとくネットではちょっとしたお祭り騒ぎになった。

警察署から出て来たケイタに僕らは掛けるべき言葉を失くした。
「ったく!俺はクソ以下だ!」
ケイタの言葉が胸に刺さった。


そもそも考えれば分かる事なんだよね。少なくとも僕らが知っている関ちゃんは、上司の些細なパワハラで自殺するようなタマじゃなかったんだ。
僕らはどうして言えなかったのか?
あいつは自殺なんかしない!と。
場の空気を読んで流されてしまったのだろうか?

あの世で関ちゃんはきっとこう思うだろう。
おいおい、、お前ら勘弁しろよ、と。

あの時、僕らの友情はいつの間にか計られていたような気がする。

そしてケイタは関ちゃんが発言したツチノコの真意を知っていたのだと思う。だからこそずっと黙っていたに違いない。

保険金もツチノコの懸賞金も一億円。
関ちゃんはそれを含めて自らを揶揄していたとは思いたくない。
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