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<インランランドで淫乱体験>「私んちは淫乱家族」―続編の2
第23章 竜宮城

船長の驚きにはお構いなしに、乙姫様はなおも幻妖な眼差しで招き寄せます。
「汝のこよなく良き日々のために、海ブドウのシャンパンにて乾杯をいたしましょう。酒膳のグラスを手に取りたもれ」
グラスに手を伸ばして、船長は思案する……、
乙姫様とは何者なのか?
海の生き物たちに崇められ、人魚たちを束ねて君臨する金の鱗の魚の女王……、
竜宮城の乙姫様とは……大奥の春日局みたいなものか?
それとも、嵐や竜巻を起こして海賊船を沈没させる力を持つ、ポセイドンのような神か、怖ろしいモンスターなのか?
少なくとも、タコ娘やミノカサゴ姫なんかとはレベルが違う。
未知の不安に怖気づいて萎縮する船長だが、いまさら逆らう理由もなく、後戻りもできない。
運を天に任せようと投げやりな覚悟で、船長はグラスを手に持った。
乙姫様に手招きされて、海綿体のベッドにひざまずく。
カチンと乾杯をして、海ブドウのシャンパンを口に含む。
えも言われぬ香りが鼻孔をくすぐる……、
ゴクンと飲み干す。
竜舌蘭のテキーラにフグの毒を加味したような、舌がほど良く痺れて喉が焼ける。
かつて七つの海を荒らし回って多種多様な地酒を略奪してたしなんだが、このような刺激の美酒は初めてだ。
いつの間に寄り添ってきたのか、真鯛の人魚姫がグラスに酒を注ぎ足してくれる。

