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雪エルフのメイドはホムンクルス執事と
第4章 ホムンクルス執事が目覚めたら
2
 てっきり剣でも抜くのかと思ったら、あっさり裏拳一発だった。
 地下室の扉を開けるなり飛びかかってきたゴブリンの頭が、嫌な音で変な方向に曲がったのが、キアラの目にも一瞬だけ視認できた。きっと夢に出てくるだろうが、もっと酷いものを見まくっているから今さらだろうか?
 しかも二匹目を蹴り飛ばし、床と壁にバウンドさせる。家の中を血で汚して壁板も壁紙もグチャグチャになってしまう。三匹目を中空につかんで、四匹目に思いっきり投げつけた。ただの腕力とは思えない、魔力や闘気で強化されているとしか思えない。三匹目・四匹目は凄惨な事故のように飛び散ってしまう。

(うわあああ!)

 キアラは内心で絶望の悲鳴をあげた。

(ここは家の中なのよ? ここで生活するのよ?)

 ひょっとしたらこれから余所に避難でもしてしばらく家を開けるのかもしれないが、それならそれで不在の家の中でゴブリンの死体が腐って虫が湧いていたら、すごく嫌だった。
 それでもこんなときだけに、「汚すな・壊すな」とは言えないのが辛いところ。第一に母と弟が危ないのだから、細かいことでケチ着けて文句を言っている余裕はないだろう。キアラは「むうっ」と顔をしかめて一秒足らずだけ執事の顔を睨んで、さっさと歩き出す。「この件はあとでゆっくりと話そう」と思いつつ。
 早足、もとい駆け足で、玄関扉までの五メートルを進んでドアを開ける。ついさっきに自分で窓ガラスぶち破ったけれど、後のことを考えたら。「すぐに平穏な日常に戻れる」期待や願望も捨てきれなかったし、母や弟も数秒・二三分のタイムラグで致命的になるとは思わなかったし、手遅れや破滅の可能性を考えることを無意識が頑なに拒否していた。

「こっちです、すぐ近く!」

 我に返ればパンツの中が失禁と脱糞でとても不快だったし、きっと臭いや彼女の様子で執事にばれていると思うと、それだけで奈落の底に無限降下していくような心持ちで顔から火が出そうだった。
 極めつけは、さっき捨て駒に捧げたファーストキスで唇が疼くように熱い。彼の顔を横目に見て、「この人は何とも思っていないのだろう」などと思うとやるせなく、耐え難いほどのもどかしさと口惜しさが募る。

(ゾンビパニックのピンチで漏らしながら、半泣きでクシャクシャの顔でって、どんなだよ?)

 こんな風情の欠片もないのは、嫌だ。認めない。
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