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雪エルフのメイドはホムンクルス執事と
第3章 死霊術の真昼
1
 辺境で騒乱が勃発した知らせが町に届いた正午前、キアラとユーリは平屋の学校で文法の授業を終えたところだった。念のために生徒たちは早く家に帰され、その途中、帰り着く前に町中でも事変が起きた。

「ゾンビ? あれって、ゾンビじゃないの?」

 目をしばたたくユーリてを引いて、キアラは狼狽しながらも、どうにかこうにか民家脇の細い裏路地に姿を隠す。二人して息を潜め、目線を見交わす。
 まだ小さな安息の屋敷には距離があり過ぎるし、物音と叫び声から阿鼻叫喚であろう市場の地区を通らなくてはいけない。平素ならばその市場の通りは見知った信頼の置ける店舗主たちや、交代で保安官役のガードマンをやっている若者や武術師範たちがいるため、生活に便利なだけでない最も安全な区画なのだが。

(嘘でしょ、どうなってるのよ!)

 ゾンビだけでなくスケルトン(骸骨)もいる。腐った体や骨だけで動き回って、普通の人間を上回る力を振るえるというのは、死霊術による魔術的な処置と力の付与がなくてはできないことだった。「素材」こそは人間の肉体の残骸や遺物であっても、暗い魔術によって常人には太刀打ち困難なモンスターと化す。
 キアラも足がすくんでしまうのは無理もないのだけれども、たぶん時間が経過することで、より悪化していくことさえありえた。

(どうしよう? これって悪い夢? 現実だわ!)

 やっかいなのは、しばしば呪いの効果が「伝染性」を持っていることだった。つまり襲われた人間までがゾンビのようになってしまう。そんな有難くないオプションの有無や持続性・強固さはまちまちだけれども、ゾンビの方が伝染性を付与しやすいとされる。
 だから古い格式での高級な土葬だけでなく「火葬」が町の補助金によって廉価・無償で行われて、民衆の生活の助けと共に安全対策がされている。いざというときときにゾンビになる埋葬者の数が減るからだ。しかし今回は納骨堂にまで別の死霊術がかけられたらしいから、悪意は徹底している。
 悪意?
 距離のある土葬墓地と納骨堂の両方で死霊術が使われたということは、誰かが故意にやった考えるのが自然というものだろう。事故とは考えにくい。
 おそらく、敵方の魔族シンパの破壊工作員が近隣の墓地で死霊術でも使ったとしか思われない。
日常の生活の場であった街路では、死の追いかっけっこや修羅場が繰り広げられている。
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