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第2章 保険外交員　水瀬祐希

木原は数日後、勤務時間後に水瀬祐希をまたあの喫茶店へ誘った。
木原は練りに練った旅行プランを携えて彼女が来るのを待つ。

線の細い身体にピッタリと合ったパンツスーツスタイルで相変わらず上品な出で立ちだった。

木原を見つけるといつものように微笑みながら会釈をしたが、少しだけ表情が硬いように見えた。

祐希「お待たせいたしました」

木原「お疲れ様です」

祐希「あの、早速ですがお話というのは」

木原「まあまあ、飲み物まず頼まれてはいかがですか？」

祐希「・・・はい、そうですね」

水瀬祐希は店員を呼び、ブラックコーヒーを注文した。

木原は既に手元に来ているコーヒーを一口啜る。

木原「旅行のプラン考えてきたんです」

祐希「・・・そうなんですね、どういったものになりますか？」

やはり水瀬祐希の表情は少し硬い。木原の口からでる言葉に身構えているようだ。

木原は心臓の鼓動が速くなるのを感じた。
なるべく平静を保ちながら話さなければならないことは理解はしている。
目の前の美人にこんな話しをするのは常人であれば腰が引けてしまうものだ。

彼女いない歴＝年齢の木原にとっては本来相当ハードルが高いことだった。

木原はカバンからファイルを取り出して、旅行サイトで下調べをした高級旅館のプランを印刷したものを取り出した。

木原「これなんですけどね、かなり人気が高い旅館なんですけど、再来週の土日は空きがありそうなんです。料理も相当豪華で、温泉もいい感じなんですよね。あと部屋に露天風呂もついてて、相当広々なんですよね。水瀬さんはお酒は結構飲まれますか？」

水瀬祐希の顔も見ずに早口で一気に捲し立ててからようやく木原は顔を上げて彼女の顔を見る。

彼女はテーブルの上の木原が印刷したプランを見て戸惑っているようだった。

祐希「あ、あの・・・木原さん？」

木原「どうでしょうか？」

祐希「あの、、こちらは、同室ということなのでしょうか？」

水瀬祐希が困ったような表情で木原の顔を見る。

木原「あっ、旅行は私が行きたいだけなんで、旅費は私が負担します。水瀬さんも旅行が好きだということなので、絶対楽しめると思います。で、お酒を飲みながらゆっくり契約のこととか、色々お話しできればと思ってましてね」