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第2章 保険外交員　水瀬祐希

木原は一通り話し終えてから、ぬるくなったコーヒーを啜った。

水瀬祐希は考えこんでいるようだった。
こんなにあからさまに枕営業を誘ってくる男は過去にいたのだろうか？
そんな事をしなくても彼女は実力で契約を勝ち取れるのは間違いなかった。

だが今回のはあまりに額が大きいということなのだろうか、彼女の感情が揺れ動いているのが表情からわかった。

祐希「あの、木原さん、、契約いただいた場合・・・半年間は最低続けていただかないとペナルティというものがありまして」

木原「水瀬さんにペナルティがくると」

祐希「その通りです。半年でもかなりの金額をお支払いいただくことになるのですが、、その・・・」

要は本当に払えるのかと言いたいようだった。

確かに個人で払う保険料では考えられない突拍子もない金額だ。

木原は思いたったようにスマートフォンを操作して、画面を彼女に見せた。

水瀬祐希の目が少しだけ見開かれたのを木原は見逃さなかった。

彼女に見せたのは銀行口座のアプリの口座残高の画面だった。そこには9桁の数字が並んでいる。

木原「これで信じてもらえますか？」

祐希「はい、確かに、すごい金額ですね」

祐希はまた考え込む表情になる。
彼女もコーヒーを一口啜ってから一呼吸おいて口を開いた。

祐希「再来週の週末でしたら、空いておりますが、ご都合いかがですか？」