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第2章 保険外交員　水瀬祐希

祐希「ただいま戻りました」

水瀬祐希が部屋に戻ってきたのは部屋での夕食が始まる10分前であった。
彼女がいないうちにカメラとマイクの位置を吟味できたので木原にとっては都合が良かった。

設置したカメラが入室してきた彼女の姿を鮮明に捉えているはずだ。

木原「ゆっくりできたかな？」

祐希「すみませんお待たせしまして、お風呂すごく良かったです」

浴衣の上に羽織を纏って水瀬祐希はかなり上品な出で立ちだった。

小顔で身長もそこそこ高いので浴衣の着こなしがよく、とにかく見栄えがいい。

元々厚化粧するタイプではないので、風呂から出てもその美貌はほとんど見劣りすることはなかった。もしかしてナチュラルメイクはしているかもしれないなと木原は思った。薄い色付きのリップは間違いなくつけているだろう。

髪は丁寧にブローされていて、全く乱れがなくしっかりとまとまっていた。
これは確かに時間がかかるだろうなと木原は思った。

こんな美人と二人で部屋にいるのがいまだに実感がなかった。

木原の視線を感じたのか、祐希が口を開く。

祐希「もうすぐ夕食ですね」

木原「評判がよかったので期待していてください」

祐希「はい、とても楽しみにしています」

彼女はいつものように口元に微笑をつくり他愛もない会話が続く。

そうしているうちに、扉をノックする音が聞こえて仲居がくると夕食の準備に取りかかっていった。