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雪エルフ魔女の氷結NG日記(極北系+官能短編集)
第2章 天使のような悪魔/深淵(アビス)エルフと初恋コレクター
「誰が「色キチ」だよお、まったく!」

 憤るソーニャに、ネラは見透かすようなからかうような仕草で指差した。

「だってさ! アタシだったらテキトーに金とって精気貰って楽しむだけだけど、お前って「初恋コレクター」みたいなもんで、気に入った男には「心」まで欲しがるんだからよっぽど貪欲じゃん。それで一生ずっと恋患いさせるとか、よっぽど酷たらしいんと違う?」

「行きましょ! あのアホタレなんかほっといて」

 ソーニャは険のある作り笑顔で若者の腕をグイと引く(さすがは付き合いが長いだけあって痛いところを突いてきやがる!)。勝手に話を進められて急に呼びかけられ、ようやくソーニャの顔をちゃんと見た若者は、ハッとした顔になっていた。

「あ、あのときの! 子供のときに会ったエルフの」

「そうよ。良く育ったわね。見違えた」

「あのときの、裸でうろついていたお姉さん!?」

「ぶっ!」

 そんなことまで覚えているあたり、ソーニャは困惑して言葉に詰まってしまう。彼女にとっては「年若い幼い少年に慕われた」美しい思い出だったはずなのだが。
 立ち去ろうとする背後でネラがあざ笑って愉快そうなのが腹立たしい。駆け戻って顔面パンチしてやろうかと本気で迷ってしまう。
 おまけに余計なことまでベラベラと喋りやがる。

「おい、純情な君は知ってるか? そいつってフィストファック経験者なんだぜ。私が子宮まで掴み出してやったんだから、間違いない! あのときは快楽クラゲのプールに浸けておいたら、白目で痙攣してたっけな? そんで股ぐらに手を突っ込んだら凄い顔で絶叫しながらムッチャ締めつけてビクビクして噴水」

「おい! 次会ったら、もう一回くらい冷凍してあげましょうか? ガチゴチに凍らせてから、叩き壊す」

 ソーニャは憮然として、成長した古いなじみ男の子の腕を抱いて、さっさとその場をあとにする。
 このどうしようもない「深淵の魔女」ネラも、最初に出会ったときから比べれば(そのときには魔族と結託して悪行に励んでいた)、ずいぶんと穏やかになっているのだが。ともあれ「ミノタウロス(牛男)やケルベロスにレイプされた話」やらをされても困るし、ここはさっさと逃げるに限る(せっかくの「彼氏」との再会なのだ)。いつかまた次の機会には「乳房に金串を刺しまくってから棍棒で紫に腫れ上がるまで殴り潰してやる」と心に誓う。
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