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私と"影"
第2章 夢の中の声
気がつくと暗闇の中に立っていた


「あれ‥‥?」


周りを見渡しても何も見えない
自分の身体さえも、はっきり見えないくらいのただ闇があるだけの世界だった


「な‥‥‥何‥‥だ、誰か‥‥っ‥」


私の声は虚しく暗闇に消えた
怖くてたまらなくなり、自分の身体を抱きしめその場に踞った

「‥‥怖い‥‥‥嫌だっ‥‥‥!!!」

その時ふいに気配を感じ顔をあげた

「‥‥‥!!!!!」

周りを見渡したけれど、誰もいないし何も見えなかった
今にも涙が出そうになった時、暗闇からまた気配を感じた
するとその気配の影が私に向って伸びてきた


「‥‥‥!!!!」


恐怖のあまり声も出ず固まっていると、その影はゆっくりと私の頬を撫でた


「ヒィ‥ッ‥‥‥!!!」


ガタガタと震え始めた身体を宥める様に撫でるその影に、目を向けた


「‥‥‥な、なに‥‥」

「‥‥大丈夫‥‥大丈夫だよ」

「‥‥‥!?」

「‥‥僕の事‥‥分からないの‥‥?」


突然発せられた聞き覚えがない声に驚き、身体の震えが止まった


「酷いな‥‥‥君が創り出したのに‥‥‥」

「‥‥わ、私が‥創り出し‥‥た?」

「そうだよ‥‥‥毎日僕と話してるじゃないか」

「‥‥‥!?もしかして‥‥私の中の声‥‥のひ‥‥と‥‥?でも声が‥‥違う‥‥」

「この声は君が望んだんだよ‥‥女の声じゃなく、男の声を。僕は君の望み、そのものだ」

「‥‥私の‥‥望み‥?」
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