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私と"影"
第2章 夢の中の声
切なさを含んだ震えるその声は私には泣いているように聞えた


「‥‥泣いてる‥‥の?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」


影は何も答えなかったけれど、私の心にはチクっと痛みが走った


「ごめんなさい‥‥。今日は朝からバタバタしちゃって‥‥言い訳だね‥‥‥ごめんなさい‥‥」

「そんなに何度も謝らないで‥‥僕は君を困らせてるんだね‥‥」

「そんなことない‥‥っ!!!私がいけないの。あなたは私が‥‥その‥‥創り出したのに、私はあなたの事を放ってしまっていて‥‥」

「‥‥僕が君の創り出した存在だって、本当にちゃんと分かってる?」


私は目を伏せて俯いた


「‥‥ごめんなさい‥‥‥。でもそうだったら嬉しいなって‥‥私の中の声は私だけの存在で、ずっと傍で話を聞いてくれる。楽しい時も嬉しい時も、淋しい時も辛い時も‥‥。でもずっと一人二役だったのに、それがそうじゃなくなって独立した存在になって、それでも変わらずに傍にいてくれたらって‥‥無意識にそう望んでいたんだと思う‥‥」


そこまで言って私はある事に気が付き、顔を上げた


「‥‥‥あれ‥‥‥?確か【僕は君の望みそのもの】って‥‥。もしかして‥‥そういう事なの?」

「‥‥そうだよ。やっと分かったの?遅いよ‥‥」


影は少し拗ねたような声を出した。
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