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透明なリーシュに結ばれて
第5章 愚か者
 世界中の雄から称賛されるはずだったのに、今は世界中の男たちが僕に向かってサムズダウンをしてブーーイングを浴びせている、という光景が目に浮かぶ。もしここがアメリカだったら、僕はFとSで始まる単語で罵倒されるだろう。
 そんなことなんてどうでもいい。僕は湯舟から出て、風呂場の床に正座をして帆夏を見た、いや見れない。顔を合わすことができない。それにさっきから帆夏は無言だ。実に嫌な蒸気……ではなく空気が風呂場に漂っている。
「すみませんでした」
 僕は風呂場の床に頭を擦り付けて謝った。世間ではこのことを土下座と呼ぶらしい。帆夏に反応がない。僕は恐る恐る頭を上げて、今度こそ帆夏を見た。めちゃくちゃ怖い目で僕を見ている……見ていない。それどころか笑っている。
「ふふふ」
 目が合うと帆夏は声を出して笑った。
「スケベな翔君、私合気道やってたの。K空手は茶帯を持っているわ」
「合気道とK空手!」
 驚いた。神様、どうしてそのことを僕に教えてくれなかったんですかと、あろうことか僕は責任の一端を神様に押し付けた。
「スケベな翔君、謝ってないんですけど」
 帆夏がそう言った。
「……」
 僕は土下座をして帆夏に謝罪をしている。なのにどうして?
「スケベな翔君、私に謝ってちょうだい」
 スケベな翔君は、いや違う、僕は不思議に思った。なぜなら僕はきちんと謝っているからだ。そうか一度だけではだめだということか。
「どうもすみませんでした」
 僕はまた床に頭をつけて謝った。
「ブー。ダメダメ」
「……」
 僕にはわからない何故ダメなんだ……あれ……帆夏の視線が僕のある所に向かっている。僕のある所に向けられている帆夏の視線を追う。 
 オーマイガー! 僕がせっかく土下座までしているのに、僕のペニスはまだ戦闘状態だったのだ。鋼鉄の硬さを維持したまま僕のちんぽは、下腹にぴたりとくっついて天を向いていた。
 バカヤロー僕のちんぽ。どうしてこんなときでも元気一杯なんだ。
 帆夏の言う通りだ。僕がどんなに詫びたところで、僕のちんぽは武装解除していないのだ。
 いや待て、これは僕のちんぽの責任なのか? 豊満な肉体を僕のちんぽの前にさらしているあなたのせいじゃないのか! と帆夏に言ってやりたかったが、できるわけがない。
「すみません、もう少し時間をください」
 わけのわからにことを僕は帆夏に言った。
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