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透明なリーシュに結ばれて
第9章 楽園
 僕と下田は付き合い始めた。僕は下田に毎日会ってセックスしたかったが、教師である下田にはそんな時間はなかった。週に一度会えればよし(残念ながらこんなことはあまりなかったが)、でもようやく僕と下田の関係が始まったのだ。
 ところが幸運はそれだけではなかった。僕は週に一度、楽園に通うことになったのだ。
 僕は学習塾とスポーツジムでバイとをしている。スポーツジムでは主に受付や雑用がメインで、会員のパーソナルトレーナーをしているわけではない。楽園の話はこのジムのオーナーが僕に持ってきたのだ。
 週に一度、ミニバスのコーチをしてくれとオーナーは僕に言った。コーチをしている時間は通常の時給の二倍払うと約束されたし、僕は元々バスケットボールの選手だった。断る理由なんてない。ただ僕は子供が苦手だ。
 塾では「東大出てないのに勉強を教えられるのか」とクソ生意気なガキに言われるし、高級車で送り迎えされるジムの子供を見ると無性に腹が立った。
 だからいくら時給がよくても小学五・六年生の子供たちのコーチなんて少々憂鬱だった。ところがミニバスをする体育館は僕の楽園だったのだ。
 楽園になる時間、それは練習の終了間際だ。その頃になると子供たちの保護者が子供を迎えに体育館にやってくる。保護者の大半は母親で、その母親たちすべてが僕のストライクゾーンど真ん中なのだ。子供たちのことなんか忘れて僕は母親たちのことがものすごく気になった。だから僕は股間が膨らまないように必死に耐える。そんな姿を見られてしまうと僕はコーチを解任されるし(そんなことはどうでもいいが)、母親たちを見ることができなくなってしまう(これは非常にまずい)。
 練習終了後、子供たちは僕にあるリクエストをするのだ(このリクエストに集中することで勃起するのをなんとか我慢できる)。
 子供たちは僕にこうリクエストする。
「コーチ、ダンクシュート見せて」と。
 僕はダンクシュートができる。通常のバスケのリングより低いミニバスのリングなら、僕はマイケルジョーダンのように宙を駈けながら華麗なダンクを見せてやれる。
 でも僕は子供たちにこう言う。
「ダンクシュートなんてやったことないからな」
 わざと不安な自分を演出するのだ。
「ダンクシュート見せてよ」
 子供たちは僕に強く迫る。
「仕方ないな」
 僕はそう言って見事なダンクシュートを披露する。
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