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透明なリーシュに結ばれて
第2章 約束
「翔君」
 帆夏が僕を追って店を出てきた。
「ご馳走様でした」
「翔君、来週の日曜日は暇?」
「暇です。だからまたサーフィンに」
「じゃあデートしましょ」
「えっ?」
 デートという言葉に僕は驚いた。
「サーフインとデート、翔君、どっちを選ぶ?」
「デートでお願いします」
 即答、男の条件反射。
「ふふふ」
「でも日曜日ならお店忙しいんじゃないですか?」
「大丈夫よ。主人はサーフィンの大会で千葉に行くし、私たちがいなくてもお店のスタッフに任せられるから」
「サーフィンの大会?」
「そう、主人はプロのサーファーだったの。プロとして今は波に乗っていないけど、主人の教え子たちが大会に出るの」
「プロのサーファー……教え子……」
「翔君も主人にサーフイン教えてもらう?」
「結構です」
 即答、これも男の条件反射……プライド?
「私、陽に焼けるのは苦手なのよね」
 帆夏は色白だった。夏の日差しの上手な避け方、なんて本を出せるくらいに帆夏は見事に紫外線をブロックしていた。
「……」
 僕は帆夏の白い肌から目を離すことができなかった。
「そんなに翔君から見られると、少し恥ずかしいんですけど」
「すみません」
 僕はすぐに謝った、僕の目は帆夏の豊満な胸にくぎ付けになっていた。多分帆夏は、僕を傷つけないようにやんわりとたしなめてくれたのだと思う。
「それで一つだけお願いがあるの」
「お願い……ですか?」
「そう、デートのプランは私に任せてほしいの」
「プラン?」
「そう、プラン」
「全然かまいません。ていうか、僕からお願いしたいくらいです。僕、デートしたことないですから」
「翔君は彼女いないの?」
「いません、生まれて今日まで彼女ができたことが一度もありません」
「ふふふ、正直ね」
「……正直」
「で、翔君、もう一つ」
「もう一つ? 何ですか?」
「翔君、一瞬でも私とエッチできると思った?」
「……」 
 即答できない。
「私とエッチできると思った?」
「……思いました」
 大人の女性にごまかしは効かないし……嘘はつけない。
「ふふふ、正直でよろしい」
「すいません」 
 エッチを想像しただけで僕は帆夏に謝る。
「でも、それは諦めてね。デートはデートだから」
「諦めます」
 言う必要のない言葉が出てしまった。もちろん帆夏に大笑いされた。
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