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透明なリーシュに結ばれて
第10章 瓦解のとき
 それから僕と帆夏は東京に戻った。これが下田や文子だったら僕は間違いなくエッチに誘う。でも相手は強敵だ。下手に誘おうものなら僕は帆夏との繋がりを無くしてしまうだろう。それは怖い。
「私の忠告を無視しないでね。わかった? また連絡するわ」
 そう言って帆夏は高級外国車を走らせた。
 ぽつんと東京駅に一人。何だか取り残された感じがしてあまりいい気分ではない。そういうときに限って面倒くさい電話がかかってくる。スマホの着信音。
「翔、今時間あるだろ?」
「何?」
 山名からの電話に僕はぶっきらぼうに答えた。
「作戦会議だ」
「何の?」
「女のことに決まってるだろ」
「風俗?」
「違うよ、合コンだ合コン」
「遠慮する」
「お前はもう遠慮できない」
「何で?」
「三対三なんだ。向こうが三人でこっちが二人じゃまずいよね」
「まずくねぇよ。ていうか他の奴を当たれよ」
「めっちゃ美人な三人組だ。そのうち一人を翔にあてがってやるんだ。ありがたく思えよ」
「あてがってもらわなくていいよ」
「翔、今どこにいる?」
「ニューヨーク」
「悪くないジョークだ。ニューヨークからここまで一時間もあれば来れるよな」
「行かないよ」
「それじゃあ待ってる」
「……」
 勝手に電話してきて勝手に電話を切る山名。
 あー無視したい。が、山名と権藤に飯を奢らせてチャラにするか。僕はそう考えて、僕たちのいつもの場所に向かった(もちろん気は重かったが)。
 某所ファストフード店二階。いたいた、いつもの場所に山名と権藤。権藤は僕を認めると大きく手招きをした。
「翔、最近お前付き合い悪いぞ」
 権藤がポテトを一つ口に入れてそう言った。
「お前らと付き合って僕から幸運が逃げ出した」
 僕は席に腰を下ろして権藤のポテトを摘まんだ。
「またまた御冗談を。で、金曜日空けとけよ」
 山名はそう言いながらスマホで何かを確認している。
「だったら飯奢ってもらうからな。学食と牛丼を出す店は不可。もちろんこの店のハンバーガーで済まそうと思うなよ」
「翔、これ見ろよ」
 山名はスマホの画面を僕に向けた。
「いい女だろ」
 権藤が僕の顔を窺っているのがわかる。確かに三人ともいい女だった。でも僕は思う。できることならこの女たちの二十年後に会いたい。
 そんなことを思いながら窓の外に目をやったときだった。
 
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