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透明なリーシュに結ばれて
第10章 瓦解のとき
 諸般の事情(大人と子供の事情)により僕と忍は上野に向かった。
 恋人同士という世間からの認知が必要なのか、歩いているときも電車に乗っているときも、忍は僕に体をぴたりと近づけてきた。やめてくれ、僕は若い女が無理なんだ。めっちゃ苦手なんだ。
「あのさ、君ひょっとして吹奏楽部?」
「えっ? 凄い、何でわかったの?」
 忍は驚いた顔をして僕の右腕を掴んだ。
「何となく、もしかしたら楽器はクラリネット?」
「翔まじで凄いよ、当たってる。私のこと気になってるんだ」
「……」
 気にしたことなどない。なんとなく小娘が吹奏楽でクラリネットを吹いている感じがしただけだ。
 時間をつぶすため、忍にそう問いかけたことを僕は後悔している。ガキが僕の右腕を掴んではなさないのだ。ツインテールの髪からガキが使っているシャンプーの匂いがする。もう少し渋い香りのものを使えと言いたい。そして目的地到着。
 パネルから部屋を選んで僕と忍はラブホの部屋に入った。もちろん部屋を選んだのはガキ。断っておく、主たる目的はこの部屋の見学だ。
 部屋に入ると忍は「あー疲れた」と言ってベッドに大の字になった。
 僕はソファに座って、ひょっとしたら盛り上がっているかもしれない山名と権藤の二次会をぶちこわすために、スマホを取り出して電話を掛けた。
 敵は僕の行動を熟知していた。山名も権藤も留守電にしていやがった。僕は山名と権藤との付き合いを永遠に停止することを硬く決意した。
「向こうにバスルームがあるから見てきたら」
 見学に来たのにベッドから起き上がろうとしないガキに僕はそう言った。
「いちいちうるさいんですけど」
「……」
 もうガキに話しかけない。
「ここで大人たちはエッチするんだ」
「……」
「翔はこういうところでエッチしたことあるの?」
「……」
「えっ! もしかしたら翔……童貞?」
「……」
「大学生なのに童貞なんだ……翔って残念な人なんだね」
「残念でも童貞でもいいから早く見学して来いよ」
「了解」
 スマホを弄る。ゲームをする気になれないし、動画を見る気分にもなれない。僕はただスマホの画面をスクロールしているだけだ。あれ? 何かがおかしい。僕はスマホを見るのをやめた。すると僕の目の前に忍がいたのだ。
「何?」
「見学」
「だから向こうがバスルームだよ」
「ふふふ」
 ガキの意味深な笑いが気になった。
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