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第10章 瓦解のとき

「翔、こっちに来て」
　僕は忍に手を掴まれた。そしてベッドまで連れていかれた。忍は僕を立たせたまま自分だけベッドに腰を下ろした。
「一体何なんだよ」
「見学」
「だから一人でこの部屋見学しろよ」
「翔のおちんちんの見学」
「何で僕のちんぽをお前なんかに見せないといけないんだよ！それこそ交番だよ」
「すでに翔は犯罪者」
「……」
　こんなクソガキまじでもう無理だ。どうしよう？　早くこの小娘と別れたい。
「早く見せてよ、翔のおちんちん」
「そんなのさ、お父さんかお兄さんに頼めよ」
「おちんちん見せてってお父さんに言えるわけないじゃん。それに私は一人っ子」
「彼氏とかいるんだろ」
「いません」
「じゃあ、彼氏つくれよ」
「大きなお世話」
「今ここで土下座したら許してくれる？」
　許しを請う必要なんかないが、小娘に頼んでみる。
「私が見たいのは翔のおちんちんで土下座じゃないの」
「僕のちんぽ見てどうすんのよ」
「どうもしない。ただ見るだけ」
「僕のちんぽに何か意味あるの？」
「ない」
「見たら帰るよね」
「もちろん」
「約束できるよね」
「もちろん」
「わかりました。今見せます。だから見せたら一緒に帰ろうね」
「しつこい」
　ため息一つついて僕はリーバイスのジッパーを下ろした。
「ちっちっちっ。ちまちましないでよ。一気にバーッと脱いで」
　ガキのリクエストがいちいちうざい。僕はジーンズを下げて、それからちょっとためらってトランクスを膝まで下げた。
「どうぞ」
「おおおおお！」
　小娘がそう叫ぶ。
　僕の肉棒は熟女たち専用のようで、本来なら宇宙に向かうロケットのようにそそり立ち、亀頭は行き先の天を向いているはずなのだが、僕の肉棒は萎れてだらしなくだらりと垂れさがっていた。
「見学終了でいいよね？」
「ちょっと待ってよ。翔のおちんちんめっちゃ長くて太い。でもふにゃふにゃだね」
　忍が僕の肉棒に顔を近づけてきた。
「何？」
「匂い」
「匂い？」
「そう匂い……臭い！」
「臭くて悪かったな」
「オエーって感じ。翔、まじでやばいよ」
「やばくていいよ」
　翔と小娘に呼ばれる度に腹が立つ。
「……」
　臭いと言っているのに小娘はまだ僕の肉棒の匂いをクンクン嗅いでいる。
「はい終了」
「ちょっと待ってよ」　
　小娘はそう言うと、僕の肉棒を断りもなく掴んだ。