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透明なリーシュに結ばれて
第10章 瓦解のとき
 日本の未来を憂いながら僕はバスルームに向かった。すると僕の後を忍が付いてきた。
「何?」
「翔がインチキしないか心配だから」
「インチキって?」
「体をよく洗わないとか」
「風呂に入ってインチキするやつなんていないよ。何だったらやめる?」
「バカ、早く体洗いなさいよ」
 忍は僕が体を洗っているところをずっと見ていた。ペニスを洗っているときは僕の近くにきて僕の作業に手抜かりはないか念入りに確認していた。
 そして忍は自分がバスルームに入る前に僕にこう念を押した。
「絶対に覗かないでね」
 これからエッチする女の台詞が覗くなだとは……。忍は魔物ではなくどこか違う星からやってきた宇宙人かもしれない。
 僕は忍がシャワーを終えるまでベッドの上に全裸のまま仰向けになって天井をぼんやり見ていた。これからエッチするのに僕の肉棒は元気なく萎れている。下田か文子のどちらかと犯りたい。こんな情けない肉棒なんて僕の肉棒じゃない。
 スマホを弄る気力もない。アダルトビデオなんて今の僕には何の意味もないものだ。もし僕がロリコンだったらこの状況に歓喜しているはずだ。でも僕はロリコンじゃない。僕の好物はガキなんかじゃなくて熟した女なのだ。
 容易に想像がつく忍のロリ体型。ただでさえ幼顔なのにツインテールはないだろう。なんだか体に重石を乗せられた気分だ。考えれば考えるほど心が暗くなる。
 忍みたいなガキとセックスしたことがない。心配なんかしてないが、僕の肉棒は元気を取り戻してくれるだろうか。はっきり言う、僕のペニスは勃起するだろうか。エッチするだけなのに、どうして僕は鬱々とした気分になるのだろうか。
 ガウンを着てバスルームから忍がやってきた。赤いポーチから何かを取り出した。取り出したものを忍は僕に投げつけた。
「それ二つ翔のおちんちんに被せてね。絶対だから」
 コンドームが二つ。忍の赤いポーチには後何が入っているんだ。忍は宇宙人じゃない。忍はどら焼きが大好きな猫型ロボットだ。
 ガウンを着たまま忍がベッドに上がって来たので、僕は今迄仰向けに寝ていたスペースを忍に譲った。忍は枕を二つ重ねてると、そこに頭を乗せてスマホを操作し始めた。
「何してるの?」と訊ねたかったがやめた。忍とは最小限の会話で済ませたい。だから僕から忍に話しかける必要はないのだ。
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