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透明なリーシュに結ばれて
第12章 滑り落ちていく
 案の定、僕の個人情報は山名と権藤によって忍にばらされていた。忍からは毎日どうでもいいような電話が掛かってくる。
 忍は十分くらい学校での出来事などを勝手に一人で話す。そこには僕が口を挟む余地がない。せいぜい僕が返す言葉は「ああ」「そうなの」「ふ~ん」と適当な返事だけ。それでも電話は毎日掛かってくる。
 そして毎日僕は山名と権藤に大学で会う。山名も権藤も勉強しないわりには大学だけは通ってくる。
「よう翔、女子高生とはうまくやっているのか?」
 カレーをトレーに乗せた山名が僕の前に座った。
「うまくやってるってエッチのことか?」
 権藤が僕の隣に座ってそう言う。権藤が今日選んだメニューは親子丼。
「第一食堂に来たらカツ丼だろ。お前ら付属から大学に上がってきたやつらには母校愛がない」
「翔に母校愛なんてあるのか?」
 山名が口をもぐもぐさせながらそう言った。
「あるね。僕はお前らと違って必死に勉強してこの大学に入ったんだ」
「母校愛なんてどうでもいいよ。それより翔、あの女子高生とやったのか?」
 権藤の興味は母校愛ではなく僕のエッチ。
「お前らこそあの女たちとやったのかよ」
「……」
「……」
 山名と権藤が無言で目を合わせた。気持ち悪い。
「ははは」
「ははは」
 第一食堂に響き渡るむさくるしい笑い声。山名と権藤の変な笑い声。オエーって感じの笑い声。
「二次会の会計五万三千円を俺と権藤が払ったら、あの二人さっさと帰って行ったよ」
「はっきり言わせてもらう。ざまあみろだ」
「はい、翔からざまあみろ頂きました。ははは」
 親子丼をスプーンで食べる権藤がそう言って笑った。
「それからお前らに訊きたいんだけどさ、どうして僕はロリコンなんだ、僕はいつからロリコンになったんだ」
「なんとなく」
 山名は相変わらず口をもぐもぐさせながら話す。
「何がなんとなくだよ。お前ら知らないだろうが、僕はあのガキからずっとロリコンて言われてたんだぞ」
「ご愁傷様」
「権藤、お前はどうして親子丼をスプーンで食べるんだ」
 僕の怒りはスプーンにも及ぶ。
「このとろとろはスプーンで食べるでしょ」
「食べねぇよ」
 大学生なんてものはこんなものだ。生産性のない話を学食で話す。生産性がないということは、その時間は無駄な時間となる。
 でも大学生には無駄な時間が必要だ。いや、そういう時間はみんなに必要だ。
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