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さげまん女の憂鬱~こんな私でよければ~
第1章 口説かれる
夜勤明けなので
明日は非番の筈だから
今夜こそ礼二に抱いてもらえるわと
良美は楽しみにしていたが
夕飯を済ませると
「今夜は深夜ツーリングをしてくるから
先に休んでおいてくれよ」と
礼二はヘルメットを手にすると
そそくさと部屋を飛び出してしまった。
「なによ!少しは私を大事にしてよ!!」
良美は無性に腹が立って仕方なかった。
明日は非番なのだから
今夜こそ抱いてもらえると思っていたのに
思惑が外れてがっかりした。
「呑みに行っちゃおうっと」
家計の事を考えて
独身の時のように呑みに行くのを控えていたが
こうもむしゃくしゃすると
呑まずにはいられない。
良美の足は自然と
独身時代に通い続けた店へ向かっていた。
当初はバーだったその店は
オーナー夫妻が退き
若いバーテンダーを雇ったものの
あまりにもカクテルが不味くて
ついにはスナックに変わってしまっていた。
スナックといってもカウンターレディもいなくて
バーテンダー失格となった大杉という若い男の子が
店を切り盛りしていた。
扉を開くと
あまりにも暇すぎて漫画本を読んでいた大杉が
あわててページを閉じて
姿勢を正して良美を出迎えた。
「またサボっていたんでしょ?」
「やだなあ、人聞きの悪い
少しリラックスしてただけですよ」
大杉は「何を召し上がりますか?」と
コースターを良美の前に起きながら尋ねた。