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さげまん女の憂鬱~こんな私でよければ~
第1章 口説かれる
「ところで大杉くん、
彼女とは旧知の仲なんですか?」
酒を呑ますのをストップさせて
場がシラケても困るので
霧島は話題を変えるように大杉に尋ねた。
「ええ、元々は、
ここのオーナーと知り合いでしてね
なんでもオーナーの奥さまが
二人のなれそめの
キューピッドみたいらしいですよ」
「へえ~、お酒が取り持つ縁と言うやつですか」
霧島は興味深そうに
そのなれそめとやらを聞きたそうにした。
「おおしゅぎくん、
そんな昔びゃなしは、ろうれもいいの!」
良美は、かなり酔いが回り始めて
呂律が回らなくなってきていた。
「失礼して一服させてもらってもいいですか?」
「ええ、どうぞ」
霧島が胸ポケットに手を差し込むのと同時に
大杉は灰皿をカウンターに置いた。
「あっ!いけない!タバコ切らしているんだった」
胸ポケットからシガーケースを取り出して
中が空っぽなのを確かめて霧島はそう言った。
「なんなら、
そこのコンビニで買ってきましょうか?」
大杉が気を利かせて申し出た。
「悪いねえ、じゃあ、頼んじゃおうかな」
霧島は千円札を大杉に手渡し
お釣りは駄賃がわりに取っておいてと言った。
「ありがとうございます
では、ちょっと行ってきますので店番頼みますね」
大杉が店を飛び出すのと同時に
良美は霧島の太ももに、さりげなく手を置いた。