この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
海鳴り
第7章 満ち潮
「たけしーっ、見てみろあれ」


誰かが叫んだ。


「あっ…、父ちゃんだ、父ちゃんの船だ、律子先生見て!
興和丸が先頭だ!」


武の指差す方向に、船団を引き連れるようにして前進してくる船。

舳先に取り付けられた一本の棹に真紅に黒で「興和丸」と染め上げられた大旗。その下には富士山からの日の出に「大漁」と描かれた旗。操舵室の上には日の丸の小旗を掲げ、船全体を大小の旗で見事なまでに雅に飾り上げた興和丸。

その勇姿に拍手と感嘆の声が沸き起こった。

それに負けじと後に続く船団の姿は勇猛で、また厳粛にさえ感じられる。

船が突堤に近づいてきた。


ボォーーーー……


「来たぞー!」

「興和丸だー」


白波をたてながら向かってくる興和丸の前方に、ねじり鉢巻をして腕を組み、真っ直ぐに陸を見据える相沢の姿が見えた。


「見ろよカズさんだ…」

「かっけぇなぁ」


拍手と歓声が更に高まる。


「父ちゃーん!」

「おやまあ、カズさん」


春子も興奮気味だ。


「男だねぇ、惚れちまうよ…」

「あははは、旦那がいるじゃねぇか春子は」

「アハハ、そうだった、うちの人は…、あ、翼、ほら…」

「あ、お父さんの船だ!」


手を振り、叫び、万歳をする群衆の注目を一身に浴びながら、興和丸は律子達の目の前に差し掛かった。




/221ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ