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海鳴り
第7章 満ち潮
陸に戻ってきた男達を、命がけで獲物をしとめ誇らしげに胸を張る男達を、待ちわびる女達。
出迎える妻や恋人達の晴れやかな瞳の奥に、逞しい雄に今すぐ満たされたいと躰を濡らしている女の性(さが)が見えるような気がする。
今までの自分なら気にも止めなかったような事が心を埋め尽くしていた。
激しく絡み合い、汗ばんだ躰を貪り合い、与えられる快楽に身を震わせて歓喜する女達の姿が自分と重なった。
───心残りを持ったまま逝きたくはねえ…
抱かれたい
満たされたい
女である事以外の全てを忘れたい
怖くても…
「…はい」
律子は顔を上げた。
「本当か…」
「…はい」
律子は火照り出した躰を両腕で抱きしめ、相沢に背を向けて歩き出した。
港に戻ってきた相沢の、熱い視線を受け取った時にはもうわかっていた。
もう熱くなっていた。
間違っていてもいい
律子は走り回る子供達を見つめながら歩いた。
その母親や町の人達を見つめながら歩いた。
山に落ちていく夕日を見つめ、高まるばかりの気持ちを確かめた。
抱かれたい
あの人に
出迎える妻や恋人達の晴れやかな瞳の奥に、逞しい雄に今すぐ満たされたいと躰を濡らしている女の性(さが)が見えるような気がする。
今までの自分なら気にも止めなかったような事が心を埋め尽くしていた。
激しく絡み合い、汗ばんだ躰を貪り合い、与えられる快楽に身を震わせて歓喜する女達の姿が自分と重なった。
───心残りを持ったまま逝きたくはねえ…
抱かれたい
満たされたい
女である事以外の全てを忘れたい
怖くても…
「…はい」
律子は顔を上げた。
「本当か…」
「…はい」
律子は火照り出した躰を両腕で抱きしめ、相沢に背を向けて歩き出した。
港に戻ってきた相沢の、熱い視線を受け取った時にはもうわかっていた。
もう熱くなっていた。
間違っていてもいい
律子は走り回る子供達を見つめながら歩いた。
その母親や町の人達を見つめながら歩いた。
山に落ちていく夕日を見つめ、高まるばかりの気持ちを確かめた。
抱かれたい
あの人に