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海鳴り
第8章 海風
今夜相沢は武と一緒に義母の家で過ごし、明日は夜明け前に船を出す筈だ。
「それなら『アザミ』にいらっしゃいませんか?…春子さんも少しだけ顔を出してくださいますよ」
「えっ、でも…」
「うふふ…イブは家族サービスの日らしくてお客様はめったに来ないんです」
「……」
「ですから本日は開店休業…如何ですか?」
「いいんですか?」
「もちろんです。幸か不幸か私には身寄りがないもので、イブはいつも一人なんですよ。
今春子さんを無理やり誘ったところです。うふふ…彼女、イヤとは言えない性分ですからね」
律子は思わず笑みがこぼれた。
「楽しそう…、お邪魔しちゃおうかな」
「手ぶらで来てくださいよ、気兼ねなしです。ご招待ですからね」
「ありがとうございます」
「こちらこそ…、では後ほど」
会釈をして立ち去る亜紀を見送りながら、相沢との事を亜紀は気付いているのかも知れないと律子は思った。
どう思っているのだろうか…
「夏には帰る」と言った自分の言葉を汲み取って、知らない振りをしていて欲しいと律子は願った。
「それなら『アザミ』にいらっしゃいませんか?…春子さんも少しだけ顔を出してくださいますよ」
「えっ、でも…」
「うふふ…イブは家族サービスの日らしくてお客様はめったに来ないんです」
「……」
「ですから本日は開店休業…如何ですか?」
「いいんですか?」
「もちろんです。幸か不幸か私には身寄りがないもので、イブはいつも一人なんですよ。
今春子さんを無理やり誘ったところです。うふふ…彼女、イヤとは言えない性分ですからね」
律子は思わず笑みがこぼれた。
「楽しそう…、お邪魔しちゃおうかな」
「手ぶらで来てくださいよ、気兼ねなしです。ご招待ですからね」
「ありがとうございます」
「こちらこそ…、では後ほど」
会釈をして立ち去る亜紀を見送りながら、相沢との事を亜紀は気付いているのかも知れないと律子は思った。
どう思っているのだろうか…
「夏には帰る」と言った自分の言葉を汲み取って、知らない振りをしていて欲しいと律子は願った。