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海鳴り
第8章 海風
律子を挟んで亜紀がカウンター席に腰掛けた。
「律子先生、武くんは学校でも元気な様子ですか?」
「えぇ、明るくて人気者です」
「うちの翼よりずっとしっかりしてるわよ武くんは」
「でもまだまだ母親が恋しいと思うわ、翼くんと同じよ」
「そうよねぇ…」
春子は煮物や生ハムを小皿に取り分けながらため息をついた。
「亜紀さん、カズさんて昔は武くんみたいに明るくてハキハキした人だったわよね」
えっ?
律子は耳を疑った。
「そうね、よく覚えてるわ」
「律子先生、私、カズさんと同級生なんですけどね、ホント、人気者だったんですよ」
春子が自慢げに言う。
「いったいどうして…」
「あんなに無愛想な人間が出来上がったのか…あはは…」
「春子さんたら…」
亜紀が口を挟んだ。
「うふっ、ごめんなさい。」
「何かあったんですか?」
律子は両脇の二人を交互に見ながら、想像も出来ない相沢の姿を知りたくてたまらなかった。
「どこから話したらいいかしら…」
亜紀は目の前の棚に並んだ酒瓶を見つめ、長いため息の中にある遠い記憶を、探し始めているようだった。
「律子先生、武くんは学校でも元気な様子ですか?」
「えぇ、明るくて人気者です」
「うちの翼よりずっとしっかりしてるわよ武くんは」
「でもまだまだ母親が恋しいと思うわ、翼くんと同じよ」
「そうよねぇ…」
春子は煮物や生ハムを小皿に取り分けながらため息をついた。
「亜紀さん、カズさんて昔は武くんみたいに明るくてハキハキした人だったわよね」
えっ?
律子は耳を疑った。
「そうね、よく覚えてるわ」
「律子先生、私、カズさんと同級生なんですけどね、ホント、人気者だったんですよ」
春子が自慢げに言う。
「いったいどうして…」
「あんなに無愛想な人間が出来上がったのか…あはは…」
「春子さんたら…」
亜紀が口を挟んだ。
「うふっ、ごめんなさい。」
「何かあったんですか?」
律子は両脇の二人を交互に見ながら、想像も出来ない相沢の姿を知りたくてたまらなかった。
「どこから話したらいいかしら…」
亜紀は目の前の棚に並んだ酒瓶を見つめ、長いため息の中にある遠い記憶を、探し始めているようだった。