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海鳴り
第8章 海風
「和男さん…」


律子は周囲に人がいない事を確認してから相沢の方へと歩いた。

沖を眺めている後ろ姿がやけに小さく見える。

カモメが近くを飛び交っても、その視線はそれを追うこともなく沖を見ていた。


「…こんな所で寒くないですか?」


相沢がやっと律子に気付いた。


「……」

「隣に座ってもいいですか?」

「あぁ」


律子は相沢の左側に座り、貝殻を両手で包んで膝の上に置いた。


「平田さんが死んじまった…」

「え…」


相沢の左手が律子の両手をぐっと握りしめた。


「昨日通夜だった…」

「…そうだったんですか…」


相沢は海を見ていた。


「あの人には散々世話になった…。平田さんがいなかったら俺は今頃…とんでもねえヤツになってた」

「……恩人ですね」

「あぁ…。
俺の船に乗ってもらった時に言った言葉が忘れられねえ…。
海で死ぬと思ってたんだがなぁ…ってな…」


「…畳の上でよかった」

「そうか?」

「違うんですか?
家族やみんなに見守られて…」


律子は相沢の横顔を見た。


「……そうかもしれねえな」

「和男さんは…、違うんですか?」




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