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海鳴り
第9章 夕凪
──────
「先生おはよう!」
「おはよー」
「おはようございます。」
「おはようみんな。
あら、武くん、今日は翼くんと一緒じゃなかったの?」
「うん。翼くん風邪ひいたみたいだよ」
「そう、大丈夫かな…。みんなも風邪ひかないように気をつけてね」
「はーい」
「はいっ」
「はーい」
「では出発進行ー」
4月も中旬を過ぎた。
2年生へと進級した子供達をそのまま担任として受け持つ事になった律子は、今日もいつもと変わりない朝を迎えていた。
いつもと変わりない朝はありがたかった。
武が元気に笑っているという事は、相沢にも変わりがないという事だった。
音読カードに付けられた印は、相沢が黙って頷いているようにも思え、律子は心を込めて確認印を押す。
和男さん…
「傍にいてくれ」と言った言葉に嘘はないと信じられる。
逢わないままでいるのも、本心を知った上での選択なのだと納得していた。
「逢いたい」と言えば、困らせてしまうだろうか…
「逢いたい」と言われたら歯止めが効かなくなるだろうか
校庭で元気に走り回る子供達に目をやりながら、春が過ぎれば必ずやってくる夏に想いを巡らせる。
立ち去ろう、この町を
「先生おはよう!」
「おはよー」
「おはようございます。」
「おはようみんな。
あら、武くん、今日は翼くんと一緒じゃなかったの?」
「うん。翼くん風邪ひいたみたいだよ」
「そう、大丈夫かな…。みんなも風邪ひかないように気をつけてね」
「はーい」
「はいっ」
「はーい」
「では出発進行ー」
4月も中旬を過ぎた。
2年生へと進級した子供達をそのまま担任として受け持つ事になった律子は、今日もいつもと変わりない朝を迎えていた。
いつもと変わりない朝はありがたかった。
武が元気に笑っているという事は、相沢にも変わりがないという事だった。
音読カードに付けられた印は、相沢が黙って頷いているようにも思え、律子は心を込めて確認印を押す。
和男さん…
「傍にいてくれ」と言った言葉に嘘はないと信じられる。
逢わないままでいるのも、本心を知った上での選択なのだと納得していた。
「逢いたい」と言えば、困らせてしまうだろうか…
「逢いたい」と言われたら歯止めが効かなくなるだろうか
校庭で元気に走り回る子供達に目をやりながら、春が過ぎれば必ずやってくる夏に想いを巡らせる。
立ち去ろう、この町を