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海鳴り
第9章 夕凪
校庭の真ん中に子供達が集まっている。
なんだろうと目を止めていると、数人の子供が職員室に駆け込んで来た。
「校長先生っ、ケンカしてるから止めて!」
「おぉっ、そうか。
どこだ、あ、あれだな」
男性教員と談笑していた校長が、その教員と二人で校庭側の出入口から出て行った。
二人の大人の出現に子供達が道を開ける。
人混みが左右に開いていく。その中央に出来た空間に、上級生に押されては転び、また起き上がって飛び掛かっていく武の真っ赤な顔が見える。
「っ! 武くん」
律子は上履きのまま外に飛び出した。
武が理由もなくケンカするわけがない。
あんなに怒って、ベソをかいて…
「あ、律子先生も来た」
「先生、武くん急に怒りだしたの」
律子が駆け寄った時にはすでに二人は引き離され、まだ飛び掛かりそうな勢いの武は後ろから抱きかかえられて足をバタバタさせていた。
「はい、皆さんは教室に戻ってください。チャイムが鳴ってますよ、授業が始まります。」
校長の声に「はーい」とつまらなそうな声を残し、小さな野次馬達が後ろを振り返りながらバラけていった。
なんだろうと目を止めていると、数人の子供が職員室に駆け込んで来た。
「校長先生っ、ケンカしてるから止めて!」
「おぉっ、そうか。
どこだ、あ、あれだな」
男性教員と談笑していた校長が、その教員と二人で校庭側の出入口から出て行った。
二人の大人の出現に子供達が道を開ける。
人混みが左右に開いていく。その中央に出来た空間に、上級生に押されては転び、また起き上がって飛び掛かっていく武の真っ赤な顔が見える。
「っ! 武くん」
律子は上履きのまま外に飛び出した。
武が理由もなくケンカするわけがない。
あんなに怒って、ベソをかいて…
「あ、律子先生も来た」
「先生、武くん急に怒りだしたの」
律子が駆け寄った時にはすでに二人は引き離され、まだ飛び掛かりそうな勢いの武は後ろから抱きかかえられて足をバタバタさせていた。
「はい、皆さんは教室に戻ってください。チャイムが鳴ってますよ、授業が始まります。」
校長の声に「はーい」とつまらなそうな声を残し、小さな野次馬達が後ろを振り返りながらバラけていった。