この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
海鳴り
第9章 夕凪


「ほら、律子先生心配してるぞ。ちゃんと話すんだぞ」


落ち着いてきた武の様子を見て同僚の光田が律子に微笑んだ。


「先生のクラス自習させておきますから、武くんをよろしく」

「はい、申し訳ありません。よろしくお願いします」


律子は保健室から出て行く光田に一礼して背中を見送った。


「………」


椅子に座って俯く武はこぶしを強く握っている。


「武くん」


膝と手のひらを少し擦りむいたようで、絆創膏が貼ってある。


「痛くない?」

「…こんなの平気」

「そうよね、男だもん」

「うん」


武が俯いたま頷いた。


「…アバズレって何?」

「…えっ?」

「あいつ…、母ちゃんはアバズレだって…」

「っ…、そう言ったの?」

「父ちゃんの他に男がいっぱいいるんだって…。帰って来ないのは、…僕、僕が、捨てられた、からだ…って…」


武の肩とこぶしがブルブルと震えだした。

ムカムカする怒りが胸いっぱいに広がり、心臓が重い鼓動を響かせた。

こぶしを握っている武の気持ちがよくわかる。
堪えているからだ。
幼い心で。

律子はそれを見ながら自分のこぶしをグッと握りしめた。



/221ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ