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海鳴り
第9章 夕凪
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「家庭訪問もようやく最終日ですね」
職員室を出る律子に校長が話しかけてきた。
「はい、もう子供達の家の事や性格は把握していますので前回よりは楽なんです」
「すっかりこの町に溶け込みましたね、気をつけて行ってらっしゃい」
「はい、ではいってきます」
昨年度と同じ生徒達を受け持っている為、保護者には子供のこれまでの成長などを丁寧に説明する事が出来る。
家庭からは、子供が楽しく学校へ通えるクラス作りへの感謝と、1学期を最後に学校を去る律子の事を惜しむ声が多く、律子は改めて教師を辞めなくて良かったと思うのだった。
5月の連休が過ぎれば駆け足で夏休みがやってくる。
もう少し…
早くなる雲の動きに目をやり、最後の訪問先となった武の家を目指してバス通りに出て左に曲がる。
相沢に逢いたくはないが仕事なのだからと自分に言い聞かせる。
まだ報告できずにいる武と慎吾のケンカの事も伝えなければならない。
逢いたくないけど逢うしかない…
逢いたい
怖い
逢うのは怖い…
でも仕事だからしょうがない
仕事だ
仕事をしなくては
「家庭訪問もようやく最終日ですね」
職員室を出る律子に校長が話しかけてきた。
「はい、もう子供達の家の事や性格は把握していますので前回よりは楽なんです」
「すっかりこの町に溶け込みましたね、気をつけて行ってらっしゃい」
「はい、ではいってきます」
昨年度と同じ生徒達を受け持っている為、保護者には子供のこれまでの成長などを丁寧に説明する事が出来る。
家庭からは、子供が楽しく学校へ通えるクラス作りへの感謝と、1学期を最後に学校を去る律子の事を惜しむ声が多く、律子は改めて教師を辞めなくて良かったと思うのだった。
5月の連休が過ぎれば駆け足で夏休みがやってくる。
もう少し…
早くなる雲の動きに目をやり、最後の訪問先となった武の家を目指してバス通りに出て左に曲がる。
相沢に逢いたくはないが仕事なのだからと自分に言い聞かせる。
まだ報告できずにいる武と慎吾のケンカの事も伝えなければならない。
逢いたくないけど逢うしかない…
逢いたい
怖い
逢うのは怖い…
でも仕事だからしょうがない
仕事だ
仕事をしなくては