この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
海鳴り
第11章 引き潮
「それじゃ、私、そろそろ…」
「律子先生っ…僕達の事忘れないで」
武の声がする。
「忘れないわ」
「絶対?」
「ホントに?」
「先生本当?」
子供達のかわいい声がする。
「えぇ、絶対、本当に」
律子は力強く言った。
「僕も忘れないよ」
「アタシも」
「オレも」
「僕だって…」
「先生、私達みんな先生の事好きですよ」
「そうですよ。だからまたいつでもいらっしゃい」
「来てくださいね」
「皆さん本当にありがとうございました」
律子は深く頭を下げ、カバンを持ち上げてバスに乗り込んだ。
「先生ーーっ」
子供と大人の声が飛び交う。
律子を追ってバスの窓側に人が集まる。
「先生、ほらね、帰る時には後ろ髪を引かれるでしょう?」
始めてこの町に来た時、この運転手にそう言われたのを律子は覚えていた。
「えぇ、えぇ本当に」
「……出しますよ」
「お願いします」
バスが動き出した。
みんなが手を振る中、子供達が駆け出した。
泣いている武の顔が通り過ぎて行く。
翼も春子も泣いている。
律子は後部座席に移動しながら、道路を走って追いかけて来る子供達に必死に手を振った。
「律子先生っ…僕達の事忘れないで」
武の声がする。
「忘れないわ」
「絶対?」
「ホントに?」
「先生本当?」
子供達のかわいい声がする。
「えぇ、絶対、本当に」
律子は力強く言った。
「僕も忘れないよ」
「アタシも」
「オレも」
「僕だって…」
「先生、私達みんな先生の事好きですよ」
「そうですよ。だからまたいつでもいらっしゃい」
「来てくださいね」
「皆さん本当にありがとうございました」
律子は深く頭を下げ、カバンを持ち上げてバスに乗り込んだ。
「先生ーーっ」
子供と大人の声が飛び交う。
律子を追ってバスの窓側に人が集まる。
「先生、ほらね、帰る時には後ろ髪を引かれるでしょう?」
始めてこの町に来た時、この運転手にそう言われたのを律子は覚えていた。
「えぇ、えぇ本当に」
「……出しますよ」
「お願いします」
バスが動き出した。
みんなが手を振る中、子供達が駆け出した。
泣いている武の顔が通り過ぎて行く。
翼も春子も泣いている。
律子は後部座席に移動しながら、道路を走って追いかけて来る子供達に必死に手を振った。