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海鳴り
第12章 それから
胸が震える。


「…そう…、いろいろと、話してくれて……ありがとう」

「いいえ。
僕が父にできる事なんてなにもなくて…。
僕も妹も成人してからはなかなか田舎に帰らなかったし…」

「漁師さんにはならなかったのね」

「はい…、父に止められました。…魚も減ってるし、波浜にしがみつかなくていいって…」

「そう…」


律子の涙が落ち着いたのを見て、武は冷たくなったコーヒーを飲み干した。


「その貝殻、もしご迷惑なら…」

「迷惑なんかじゃないわ…、ありがとう」

「どうぞ先生の思うようになさってください。
それじゃ僕、そろそろ行きます」


武は立ち上がりテーブルの伝票を手にした。


「ここは僕が」

「あ、待って私が…」


律子も立ち上がった。


「大丈夫ですよ先生、………僕、男だから」

「まあ…」

「あはは…」
「うふふ…」


一瞬、坊主頭の武が見えた。


「それではお言葉に甘えて…、私はもう少しここにいるわ」

「ごゆっくり。
それでは律子先生、お元気で」

「あなたも…、幸せになってね」

「はい」

「今日はごちそうさまでした、それから…本当にありがとう」


律子は深く頭を下げた。


「こちらこそお邪魔しました、では失礼します」


武はきっちりとお辞儀をしてから律子に微笑み、店を後にした。





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