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海鳴り
第12章 それから
──────



「それじゃあお母さん、病院へは明日の夕方行くって事でいいよね」

「そうね、お互いの予定を済ませてから」


律子は娘と一緒に夕食の片付けをしながら明日の事を話していた。


「明日本当に晴れるかなぁ」

「多分ね」


食器を洗っている律子が返事をする。


「お父さんってホント手間が掛からない人だよね」

「あらどうして?」

「だって入院中大変だった時でもずっと落ち着いてたしさぁ…、アレ持って来い、とか来るのが遅い、とかってイラついて家族にわがまま言ってる隣のベッドのおじさんとは大違い。
普段から何でも自分でやっちゃうし…」

「まあ、夫婦で教師なんだから協力しないとね、あっ…」


パリンッ…


「なに…あ~、またやっちゃったの?
これだからなぁお母さんは…。
ねぇケガしなかった?」

「えぇ大丈夫よ。
泡で滑ったんだからしょうがないわよ…。
あ、ありがとう紗香」


律子は紗香が持ってきた新聞紙に、割れたグラスの欠片を集めた。


「それにしてもお父さん、よくこんなお母さんと結婚したなぁ、よく待てたよね5年も」

「あら失礼ね」

「だってお母さんていつもどっか抜けてるし、そのくせ気は強い…、ホントに教師?」

「まあ一応…、でもそれはお父さんも承知してた筈よ、出会った時からね」

「ふ~ん、変なお父さん」


紗香は口を尖らせた。





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