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海鳴り
第12章 それから
「いえ…」
律子は風にかき消される煙を見ていた。
「いい男だったんだー、うちの旦那。漁師でね…」
「………」
「必ず帰るって言って海に出たまんまもう7年…。その言葉を信じて待ってるっていうのにさ…。
まあ、バチがあたったんだよねアタシ…ハハ…」
「バチ、ですか?」
「人様に言えない事ばかりしてたからねぇ…今じゃ誰も寄り付かない…」
真理子の声が独り言のように小さくなった。
「子供が大きくなって家に寄り付かなくなる頃には、夫婦のこれからが見えてくるもんなんだ…。
あぁ…、やっぱりしょっちゅう家出をする女なんて一緒にやっていけないんだなぁ、もう終わりだなぁってねぇ」
「えっ…」
「それで旦那をいろんな事から解放してあげようって覚悟して、離婚届けまで準備して…」
「あの…」
真理子が薄く微笑んで煙を吐き出した。
「旦那の部屋を覗いたら…熱にうなされてた」
「………」
「別々の部屋で寝起きしててさ、気付いてあげられなかったのがなんだか申し訳無くて、必死に朝まで看病してさ、…着替えさせたり頭を冷やしたり…。
ついでにうわ言で呼ぶ知らない女の名前を聞いてやったり…あはは…」
「…っ…」
律子は風にかき消される煙を見ていた。
「いい男だったんだー、うちの旦那。漁師でね…」
「………」
「必ず帰るって言って海に出たまんまもう7年…。その言葉を信じて待ってるっていうのにさ…。
まあ、バチがあたったんだよねアタシ…ハハ…」
「バチ、ですか?」
「人様に言えない事ばかりしてたからねぇ…今じゃ誰も寄り付かない…」
真理子の声が独り言のように小さくなった。
「子供が大きくなって家に寄り付かなくなる頃には、夫婦のこれからが見えてくるもんなんだ…。
あぁ…、やっぱりしょっちゅう家出をする女なんて一緒にやっていけないんだなぁ、もう終わりだなぁってねぇ」
「えっ…」
「それで旦那をいろんな事から解放してあげようって覚悟して、離婚届けまで準備して…」
「あの…」
真理子が薄く微笑んで煙を吐き出した。
「旦那の部屋を覗いたら…熱にうなされてた」
「………」
「別々の部屋で寝起きしててさ、気付いてあげられなかったのがなんだか申し訳無くて、必死に朝まで看病してさ、…着替えさせたり頭を冷やしたり…。
ついでにうわ言で呼ぶ知らない女の名前を聞いてやったり…あはは…」
「…っ…」