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海鳴り
第12章 それから
───2ヶ月後
放課後の職員室でテストの採点をしている律子の元に、事務員の坂本がバタバタと駆け寄って来た。
「矢野先生っ…」
「どうしたんですか?」
「こ、これ見て下さい…」
採点途中のテスト用紙の上に、強引に新聞を広げる。
「なんですか急に…」
「ここ…、ここ見て下さい、ほら…」
「えっ?」
坂本が指差したのは小さく目立たない記事だった。
「これってもしかして、この前先生が気に掛けてらしたほら…」
「…っ…」
──身元不明の白骨死体、行方不明の漁師と判明
○月○日に××沖で底引き網漁船に引き揚げられた身元不明の遺体はDNA鑑定の結果、7年前漁に出たまま行方不明になっていた波浜町漁師相沢和男さん(当時57)である事が判明した。地元漁師の漁船に……
「矢野先生、お電話です」
「は?、あ、はい…」
同僚の安田に呼ばれ、律子は慌てて立ち上がった。
「先生、続きは後で」
「そ、そうですね」
坂本に背中を押され、律子は何度か頷いて安田から受話器を受け取った。
「なんだか周りが騒がしいんですよ…、あ、相沢さんとおっしゃってます」
「っ…」
武くん…
放課後の職員室でテストの採点をしている律子の元に、事務員の坂本がバタバタと駆け寄って来た。
「矢野先生っ…」
「どうしたんですか?」
「こ、これ見て下さい…」
採点途中のテスト用紙の上に、強引に新聞を広げる。
「なんですか急に…」
「ここ…、ここ見て下さい、ほら…」
「えっ?」
坂本が指差したのは小さく目立たない記事だった。
「これってもしかして、この前先生が気に掛けてらしたほら…」
「…っ…」
──身元不明の白骨死体、行方不明の漁師と判明
○月○日に××沖で底引き網漁船に引き揚げられた身元不明の遺体はDNA鑑定の結果、7年前漁に出たまま行方不明になっていた波浜町漁師相沢和男さん(当時57)である事が判明した。地元漁師の漁船に……
「矢野先生、お電話です」
「は?、あ、はい…」
同僚の安田に呼ばれ、律子は慌てて立ち上がった。
「先生、続きは後で」
「そ、そうですね」
坂本に背中を押され、律子は何度か頷いて安田から受話器を受け取った。
「なんだか周りが騒がしいんですよ…、あ、相沢さんとおっしゃってます」
「っ…」
武くん…