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海鳴り
第2章 過去へ──出会い
「どなたですか?」
外の風雨で聞こえないのか、律子の問いかけに返答がない。
ドンドンドンドン…
律子は懐中電灯の件を思い出した。
武くんの頑固おやじだ
「は、はい、今開けます」
慌ててドアを開ける。
吹き荒れる雨風と一緒にずぶ濡れの男が飛び込んできた。
えっ?
「いやー、酷い天気だ、…アハハ…こんばんは先生」
「直也さん…」
直也の後ろで風に押されたドアが勢いよく閉まった。
「…あ、今日はいろいろとありがとうございました。あの、なにか?」
困惑しながら問いかける。
酒の匂いがする。
「いや…、アハハ、ちょっと顔が見たくなって」
「酔ってるんですか?」
「酒の力を借りたかな…」
直也の口調が静かになった。
「……」
「俺、学校の先生嫌いなんだけど…律子先生は…、ハハ…、飲み過ぎた」
愉快に笑う直也の目は笑っているようには見えず妙な空気が流れていた。
律子は無意識に一歩下がった。
「あの、もうこんな時間ですし、私もこれからまだいろいろと、あ…」
明かりが突然消えて、目の前が暗闇に包まれた。
外の風雨で聞こえないのか、律子の問いかけに返答がない。
ドンドンドンドン…
律子は懐中電灯の件を思い出した。
武くんの頑固おやじだ
「は、はい、今開けます」
慌ててドアを開ける。
吹き荒れる雨風と一緒にずぶ濡れの男が飛び込んできた。
えっ?
「いやー、酷い天気だ、…アハハ…こんばんは先生」
「直也さん…」
直也の後ろで風に押されたドアが勢いよく閉まった。
「…あ、今日はいろいろとありがとうございました。あの、なにか?」
困惑しながら問いかける。
酒の匂いがする。
「いや…、アハハ、ちょっと顔が見たくなって」
「酔ってるんですか?」
「酒の力を借りたかな…」
直也の口調が静かになった。
「……」
「俺、学校の先生嫌いなんだけど…律子先生は…、ハハ…、飲み過ぎた」
愉快に笑う直也の目は笑っているようには見えず妙な空気が流れていた。
律子は無意識に一歩下がった。
「あの、もうこんな時間ですし、私もこれからまだいろいろと、あ…」
明かりが突然消えて、目の前が暗闇に包まれた。