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海鳴り
第3章 ぬくもり
「なかなかつかねえな…」
相沢は停電を気にしていた。
「…あの、寂しくないんでか?」
「俺が?」
「ち、違います、武くんです」
律子は慌てて武の事にした。
「寂しいからばあちゃんとこに行くんだろうなぁ、母親の実家だし…」
「あの、立ち入った事を訊くようですが…」
「なんだ」
「家出の原因て…」
「あぁ、男だ」
「えっ…、男?」
か、カケオチ?
まだ短い教師経験ではあったが、家庭の事情はいろいろと見てきた。
けれども母親が家出を繰り返す家庭は初めてだ。
「武の妹を連れて行っちまった」
「い、妹?」
「あぁ、まだ手がかかるからな」
律子は平然と言い放つ相沢に怒りが湧いてきた。
「どうして平気なんですか…」
律子は抱えていた膝を正座に変えて、相沢の方に向かって座り直した。
「説教か?」
相沢は長靴を脱いで律子に向き合い胡座をかいた。
「お子さんにとって良くない環境です」
「そうだな」
「そ、それなら何とかしてください」
「なんともなんねえ」
「あ、あなたのせいじゃないですか?」
「なんで…」
相沢は停電を気にしていた。
「…あの、寂しくないんでか?」
「俺が?」
「ち、違います、武くんです」
律子は慌てて武の事にした。
「寂しいからばあちゃんとこに行くんだろうなぁ、母親の実家だし…」
「あの、立ち入った事を訊くようですが…」
「なんだ」
「家出の原因て…」
「あぁ、男だ」
「えっ…、男?」
か、カケオチ?
まだ短い教師経験ではあったが、家庭の事情はいろいろと見てきた。
けれども母親が家出を繰り返す家庭は初めてだ。
「武の妹を連れて行っちまった」
「い、妹?」
「あぁ、まだ手がかかるからな」
律子は平然と言い放つ相沢に怒りが湧いてきた。
「どうして平気なんですか…」
律子は抱えていた膝を正座に変えて、相沢の方に向かって座り直した。
「説教か?」
相沢は長靴を脱いで律子に向き合い胡座をかいた。
「お子さんにとって良くない環境です」
「そうだな」
「そ、それなら何とかしてください」
「なんともなんねえ」
「あ、あなたのせいじゃないですか?」
「なんで…」