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海鳴り
第3章 ぬくもり
律子は空いた手で相沢の手を外そうとした。


「痛い…、離して──…っ…!」


律子は突然相沢に抱きすくめられた。


「どうしようもねえガキだ、じっとしてろ」

「…っ!」


律子の頭は相沢の大きな手のひらに固定され、唇には相沢の唇が押し付けられていた。


「──…っ…」


背中に回された腕は律子を強く引き寄せ自由を奪った。



なに…

これ…



「…ン…っ…」


苦しくて息ができない。

柔らかな厚い唇は律子の唇を全て覆ってしまい、押し付けられたまま左右に蠢く。



やめて…



一瞬離された唇がやっと息をした瞬間、相沢は再び唇を奪いながら素早く舌を侵入させた。


「っ…っ…ウッ……」


逃げようとする律子の舌を素早く見つけ出し甘く絡み付く口づけは、律子がそれまで経験したどんなものよりも優しかった。

相沢は律子をあやすように何度も舌先でつつき、逃げ場をなくしてあきらめた律子の舌に激しく絡みついた。


「──…っ…」


溢れる唾液を呑み込み、吸いとられる。


あぁ…

やめて…
やめて…
やめて…



律子は相沢にしがみついていた。


何も考えられない





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