パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第1章 訪問者

「えぇ、もちろん聞きましたよ、出身校も。
確かに教え子さんです、顔と名前を覚えていらっしゃますかねぇ…。
まずは矢野先生の記憶力、いや子ども達への愛を確認したいんですが如何ですか？」


事務員として長く勤務している坂本は、他の教師には言わない冗談を、いつものように律子に投げ掛けた。


「坂本さんたら、相変わらず私には手厳しいんですね。……分かりました愛ですね。ふふ、試してみます。
その代わり…」


律子はちらりと横目で坂本を見ると、意味深な視線を投げ掛けた


「なんなりと…」

「教え子への愛を証明出来たら、今度お茶する時はコーヒーをごちそうしてください」

「お安いご用。
前回は私が頂きましたからね。うふふ…」


律子は立ち上がり坂本に笑いかけた。


「いざ出陣」


長年教師をしていると、懐かしい教え子が訪ねて来たり、成人式後の同窓会に招待される事がある。


どの子が来てくれたのかしら…


坂本の後に続いて職員室を出た律子は、少し緊張しながら玄関に向かった。


「お待たせしました。矢野律子先生をお連れしました」

「………」


そこには紺色のスーツを着こなし、無言でじっと律子を見つめる誠実そうな青年が立っていた。