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海鳴り
第4章 さざ波
武と手を繋ぎ、海の方向へ歩く。
熱い陽の光を背中に浴び、目の前に伸びた二つの影を見つめて歩く。
大したことじゃなかった
きっと私にとっても
律子は足元でしっかりと結ばれた蝶々結びに目を移し、芽生えそうだった恋心に蓋をしようと決めた。
びっくりして動揺してるだけよ
ただそれだけ
直ぐに勘違いだったと気付く
「武くん、お手伝いに来てくれてありがとう」
「うん。父ちゃんが一緒に来いって言うから」
「そうなの?」
「ホントはね、僕、翼くんちに遊びに行く所だったんだけど、……父ちゃんが、律子先生と学校の話しでもしてろって…」
「………」
「父ちゃん照れ屋だからな」
どこが?
律子を見上げてにっこり笑う無邪気な武を見ると、つい笑いが込み上げてくる。
「武くん、お父さん好き?」
「うん、凄い父ちゃんなんだよ」
「そうなんだ」
「漁師はね、命懸けなんだ」
律子は武の目を通して、相沢の背中が少し見えた気がした。
「ほら、ここだよスーパー平野」
「よーし、お礼にアイス買ってあげる」
「やったー!」
手を繋いだまま武がまた跳ねた。
熱い陽の光を背中に浴び、目の前に伸びた二つの影を見つめて歩く。
大したことじゃなかった
きっと私にとっても
律子は足元でしっかりと結ばれた蝶々結びに目を移し、芽生えそうだった恋心に蓋をしようと決めた。
びっくりして動揺してるだけよ
ただそれだけ
直ぐに勘違いだったと気付く
「武くん、お手伝いに来てくれてありがとう」
「うん。父ちゃんが一緒に来いって言うから」
「そうなの?」
「ホントはね、僕、翼くんちに遊びに行く所だったんだけど、……父ちゃんが、律子先生と学校の話しでもしてろって…」
「………」
「父ちゃん照れ屋だからな」
どこが?
律子を見上げてにっこり笑う無邪気な武を見ると、つい笑いが込み上げてくる。
「武くん、お父さん好き?」
「うん、凄い父ちゃんなんだよ」
「そうなんだ」
「漁師はね、命懸けなんだ」
律子は武の目を通して、相沢の背中が少し見えた気がした。
「ほら、ここだよスーパー平野」
「よーし、お礼にアイス買ってあげる」
「やったー!」
手を繋いだまま武がまた跳ねた。