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海鳴り
第4章 さざ波
「どうしたの?」
目を丸くした武が律子を見た。
「………」
固まった直也は動かない。
「…あ、足を踏まれたの」
「え、そうなの?」
律子は武に向かって大きく頷いた。
武の手前なんとか直也の頭を上げさせたい。
「あの、直也さん」
「はいっ」
「──…、あなたの仕事を奪うつもりはありませんから」
「えっ」
直也が顔を上げた。
「もう足は大丈夫です」
「じ、じゃあ」
「もういいですから早くお買物済ませてください」
「はいっ、ありがとう!」
直也はそう言うと律子のカゴを奪って「ここは俺が」と言いながらレジに持っていってしまった。
「あ、ちょっと…」
律子は慌てて追いかけたが先に店員にお札を渡してしまった直也は律子をレジに寄せ付けない。
「あら直也、新しい彼女?」
お釣りを手渡しながら肉付きのいい40才位の店員が聞いた。
「違いますっ」
「とんでもねぇ」
「先生だよ」
3人が同時に答えた。
「先生? あ、千恵子先生の代わりの…」
「そうだよおばちゃん、律子先生だよ」
「あらまぁ」
「山下律子です、よろしくお願いします」
律子は急に改まって頭を下げた。
目を丸くした武が律子を見た。
「………」
固まった直也は動かない。
「…あ、足を踏まれたの」
「え、そうなの?」
律子は武に向かって大きく頷いた。
武の手前なんとか直也の頭を上げさせたい。
「あの、直也さん」
「はいっ」
「──…、あなたの仕事を奪うつもりはありませんから」
「えっ」
直也が顔を上げた。
「もう足は大丈夫です」
「じ、じゃあ」
「もういいですから早くお買物済ませてください」
「はいっ、ありがとう!」
直也はそう言うと律子のカゴを奪って「ここは俺が」と言いながらレジに持っていってしまった。
「あ、ちょっと…」
律子は慌てて追いかけたが先に店員にお札を渡してしまった直也は律子をレジに寄せ付けない。
「あら直也、新しい彼女?」
お釣りを手渡しながら肉付きのいい40才位の店員が聞いた。
「違いますっ」
「とんでもねぇ」
「先生だよ」
3人が同時に答えた。
「先生? あ、千恵子先生の代わりの…」
「そうだよおばちゃん、律子先生だよ」
「あらまぁ」
「山下律子です、よろしくお願いします」
律子は急に改まって頭を下げた。