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海鳴り
第4章 さざ波
「こちらこそよろしくお願いします。うちの翼もきっと喜びますよ、どんな先生がくるのか心配してたから…」
「はぁ…あ、一年生なんですか?」
「そうなんです。ね、武くん」
「うんっ」
「岸本翼の母です、やんちゃな息子ですが言う事を聞かない時はひっぱたいてやってください、あはは…」
肝っ玉母さんの明るい笑顔が広がった。
「昨日来たばかりで右も左もよく分からないんですけど、よろしくお願いします」
「はいはい、まぁ、明後日の始業式までには律子先生の噂は私の口から町中に広まってますよ、あはは…」
「俺も広める」
「僕も」
「そんな…」
「あはははは…」
3人の笑い声の中で律子は「前の学校とはぜんぜん違う」と不安になりながらも、翼の母親に妙な親しみを覚えた。
「武くん、今晩父ちゃんと一緒にご飯食べにおいで」
「やったー」
「俺は?」
「見習いのクセに図々しいねぇ、あはは…おいで」
「ラッキー」
直也の腫れた顔にちらりと視線を送りながら、詮索せずに笑っているのは場をわきまえてのことだろうか。
律子はこの町に来てやっと和んだ気がした。
がんばろう…
この町で
いつの間にか直也との事は小さな事になっていた。
「はぁ…あ、一年生なんですか?」
「そうなんです。ね、武くん」
「うんっ」
「岸本翼の母です、やんちゃな息子ですが言う事を聞かない時はひっぱたいてやってください、あはは…」
肝っ玉母さんの明るい笑顔が広がった。
「昨日来たばかりで右も左もよく分からないんですけど、よろしくお願いします」
「はいはい、まぁ、明後日の始業式までには律子先生の噂は私の口から町中に広まってますよ、あはは…」
「俺も広める」
「僕も」
「そんな…」
「あはははは…」
3人の笑い声の中で律子は「前の学校とはぜんぜん違う」と不安になりながらも、翼の母親に妙な親しみを覚えた。
「武くん、今晩父ちゃんと一緒にご飯食べにおいで」
「やったー」
「俺は?」
「見習いのクセに図々しいねぇ、あはは…おいで」
「ラッキー」
直也の腫れた顔にちらりと視線を送りながら、詮索せずに笑っているのは場をわきまえてのことだろうか。
律子はこの町に来てやっと和んだ気がした。
がんばろう…
この町で
いつの間にか直也との事は小さな事になっていた。